主謀者翔馬は、闇の先に光があると語っていた。今の僕らの一寸先にあるのは熱狂だ。いや、すでにその渦中の中で理性を壊し、騒いでいた。単独公演「逆襲の篝火」レポート!
「音楽家にして思想家。演説家にして偏執家。行動に結び付く言動を信条とする」アーティスト、主謀者翔馬。12月21日(火)渋谷LOFT HEAVENを舞台に、主謀者翔馬は単独公演「逆襲の篝火」を行った。当日のライブの模様をここへお伝えしたい。
勇壮に、高らかに鳴り響く「解錠」(SE)に乗せ、主謀者翔馬が舞台へ姿を現した。彼は異端な世界から想いをぶつけ、その生き様を王道に変えてやろうと意気込むように「ルサンチマン」を歌い出した。荒ぶる楽曲の上で、彼はロックオペラ歌手となり、渦巻く赤黒い感情を解き放つように歌っていた。揺れ動く気持ちの導くまま、沸き立つ想いのままに歌い上げる。主謀者は、冒頭から表情豊かな舞台劇を、この空間に描き出していった。
続く「ペテン師」でも、主謀者翔馬は跳ねた楽曲に乗せ、自らも踊り子となり、甘く、妖しく迫ってきた。それは、彼の本性??それとも、人を惑わすペテン師の姿??彼は「騙されたほうが愚かだ」と口にしていた。もしや我々は、すでに主謀者翔馬のペテンにかかってしまったのだろうか??でも、跳ねた楽曲に合わせ躍り出す身体に嘘はつけない。ならば、このまま彼のペテンにかかるのも悪くない。いや、それが真実かも知れないが…。
「飛べ!!」、主謀者翔馬の声を合図に流れ出した「真贋見据えし我が思想」に合わせ、フロア中の人達が拳を振り上げ、跳ね出した。凛々しく、スリリングな楽曲の上で彼は甘く誘う声で歌っていた。楽曲は身体を刺激するが、彼の歌声は見ている人達の心を引き寄せ、甘いまどろみの虜にしてゆく。何が真実か…その答えはわからない。でも、気持ちや身体が引き寄せることが、今の自分が感じている真贋見極めた答えなんだと思う。それが踊り騒ぐ姿なら、その答えを素直に受け止めよう。
これまでの攻めた表情から少し色を塗りかえるように、「サイレントナイト」を歌い出した。今の時期に似合う楽曲だ。でも、沸き立つ気持ちのままに「サイレント×3 ナイト」と熱く歌い上げる姿から見えてきたのは、絶望から救いの手を伸ばす姿。痛みを持った心に熱情した歌声の手を伸ばすことも、大きな救いの言霊となる。
「諸君の心を高ぶらせる」の言葉に相応しい楽曲の登場だ。主謀者翔馬は、次々と言葉を繰り出し「ピグマリオンスピーチ」を説法する。キリッと強い視線でフロアを見つめながら、彼は次々に希望や救いになる言葉をぶつける。あえて凛々しく、力強い言葉を突きつけることで、その言葉へ強い説得力を持たせようとしていた。主謀者翔馬の言葉の煽りに触発され、フロア中から多くの拳が突き上がる。この集会、なんて心を赤黒く染め上げる熱を抱いているのだろう。心がどんどん暴走のモードに染まってゆく。
さぁ、「フーリガン」を通し、妄想の世界で本能を剥き出しに暴れまくれ。彼は「フーリガン」を歌い、見ている人達の本性を白日の元へ晒そうとしていた。お前の本性を見せてみろよと言うように、本能を刺激する言葉を次々と突き刺し、見ている人達の着飾った心に穴を開け、本性を暴き出そうとしていた。もっともっと本能をさらけ出し、この会場を無法地帯に変えてしまえ!!
当たり前が当たり前じゃなくなった、この約2年間。そこで命を落としてしまった人達もいる。「名もなく散っていった英霊達に心からの敬意を」と言葉にしながら、空の彼方へ旅立った英霊達へ敬意を示そうと「名も無き英霊」を歌い始めた。攻めたアグレッシブな楽曲とは裏腹に、彼は胸の内側から沸き立つ気持ちを捧げていた。それが英霊達へ向けた鎮魂の想いだとでも言うように。
アコギの優しい音色に乗せて始まった楽曲は、主謀者翔馬の感情の昂りを合図に、激しさと熱情を増してゆく。彼は「例え夜が」を熱く熱く歌っていた。たとえ夜が明けるとしても、明けない苦しみや悲しみもあることを知っているからこそ、その答えを探す想いの鍵を主謀者は歌声に乗せていた。その鍵を受け取った僕らは、その鍵を使って夜を開け、朝日を受け入れられるのだろうか…。
「忘れたくない思い出がある 忘れたくない後悔がある 忘れたくない温もりがある 忘れたくない屈辱がある」。忘れたくても、人は忘れることなんて出来やしない。忘れたくないことも、ずっと記憶の中へしまっておきたい。でも……。彼は「忘失」を歌いながら、いろんな思い出の風景へ黒いフィルターをかけてゆく。それでも透き通って見える姿だってある。途中、マイクを外し、生声で熱唱する場面も見せていた。言葉を、言葉の力を信じている彼だからこそ、様々な矛盾を抱えた感情さえ全て肯定するように、消せない想いとして…消したくない想いにしながら歌っていた。
「必ずやってくる終わりに向かって」、主謀者翔馬は「エンドロールが呼んでいる」を歌っていた。終わりの景色に、終わりの物語から感情を遠ざけようとするほどに、終わりを意識してしまうのはどうしてだろう。主謀者翔馬は歌っていた、「聞こえるか 聞こえるか エンドロールが呼んでいる」と。そこへ向かうことへ抗う気持ちを抱きながら、声を荒らげ、抵抗の姿勢を向けていた。
聖杯を飲み干した主謀者翔馬は、「この永遠ともしれない闇のような日々を逆手にとって、終わりなき夜でも楽しんでしまおうじゃないか。明けぬ夜に乾杯を」と語り、再び聖杯を手に「不夜城」を歌い出した。触れた人達を、彼は妖しい奈落の宴へと導き出す。たとえ少しの先も見えない暗闇の中なら、いっそ暗闇の中に溺れ、楽しめばいい。共に杯を交わしながら、絶望を食らってしまえばいい。主謀者翔馬は、どんな絶望の中で生きようと、そこに光を手繰り寄せる。そのやり方が人とはちょっと違うだけ。その違いに惹かれた人達が、今宵もここに集っていた。
心病んだ祭り人達と共に絶望の宴を楽しむよう、主謀者翔馬は「断頭台」を歌っていた。この宴に集った一人一人が自らの生き恥を晒し、それを皆で宴の肴にしながら、痛みを恍惚に変えるように楽しんでいた。
ライブも終盤へ。絶望の空間へ希望となる光を灯し、その灯火を先に向かう道標へとするように、主謀者翔馬は「灯火」を歌う。この歌は、病んだ闇の世界の中での希望の灯火となる。その灯火になり、いろんな人達を導く道標になっているのは主謀者翔馬自身だ。彼の歌い叫ぶ一つ一つの言葉が、時に救いの言葉として、時に胸を突き刺す刃となって心に響く。彼はいつだって光の中へ手を伸ばしている。掴んだその先から、仲間達へ歌声の手を差し伸べている。それを、あなたは掴めるのか…。灯った明かりを見つけられるのか…。
激しく身体を揺らし、満たされない想いを埋めるように、主謀者翔馬は荒々しい姿で「渇望」を歌っていた。「限界は誰が決めた 限界はキミが決めるんだよ」と主謀者翔馬は歌っていた。まさにその通りだ。気持ちが渇望する限り、限界なんてものは生まれない。主謀者翔馬は、満たされない、物足りない感情へ、足りない感情の欠片を当て嵌めるように熱唱していた。渇望する気持ちへ導かれるままに歌い、煽っていた。
「どれだけ言っても言い尽くせない想いがある。あなた方のために歌います」。彼は訪れた人達を「走馬燈」を通し、揺れる踊り子に変えていった。とても絶望を感じるのに、主謀者の振りに合わせ一緒に躍っていると、そこが奈落の空間だろうと生きる力や勇気を抱ける。主謀者翔馬の歌は、きっと暗闇の中を彷徨い泳ぐ人を、希望へと導く灯台の光のような存在なのかも知れない。
「いつしか俺たちは知るんだろう。この世界の終わりと始まりを それでも叫び続けたいんだ。剥き出しの言葉で」。主謀者翔馬は、高らかに「狼煙を上げよ、其の身を燃して」を歌い出す。「拳をくれ!!」の言葉に気持ちを煽られた観客達が、力強く、天高く拳を突き上げる。たとえそこが絶望に支配された世界でも、生きる意志を示す人達の拳が狼煙のように上がるなら、その拳を集め、この世界に希望というフロンティアを築けばいい。一人一人の小さな声が集まれば、世界を焦がす力に変わる。それを知っているからこそ、主謀者翔馬は感情を剥き出しに歌い続けてゆく。
「飛べ!!」。荒ぶる音が牙を剥いて襲いかかる。凛々しい姿で「暗中模索」を歌い、フロアに熱狂という景色を作り上げる。このまま熱情に身を焦がしながら溺れたい。「一寸先には何がある?」と主謀者翔馬は問いかける。彼は、闇の先に光があると語っていた。今の僕らの一寸先にあるのは熱狂だ。いや、すでにその渦中の中で理性を壊して騒いでいた。
沸き立つ熱情へ、さらに情熱を加えるように、主謀者翔馬は「薔薇道」を歌っていた。熱唱する主謀者翔馬へ向け、フロア中から多くの拳が突き上がり、共に熱狂という燃え盛る道を突き進んでいた。
主謀者翔馬は、2024年初頭に東京キネマ倶楽部で行う予定の単独公演を目指し、物語を描き出す。2022年12月17日には、初台DOORSでワンマン公演「ピグマリオンリベレイト-英断か蛮勇か-」を開催。それを足掛かりに、夢へ向かって進み続けてゆく。それが「英断」か「蛮勇」か。今はまだわからない…。
本編最後に主謀者翔馬は、手にした扇子を振り、フロア中で扇子を振る踊り子達と一緒に「英断か蛮勇か」を歌い、自らの未来にエールを送っていた。その決断に勇気の風を吹きつけるように、観客達の視線のその先を…自ら見据えた未来の景色を見るように、気持ちを鼓舞しながら歌っていた。
アンコールでも、再び熱狂の宴をこの場へ作り上げようと、彼は「ノンフィクション」を突きつけ、会場にいた人達の理性を奪い去ってゆく。激しく、荘厳でシンフォニックな音に包まれ、主謀者翔馬は歌っていた。これがリアルだ。今、飛び跳ね、宴の中で騒ぐ姿こそが現実の中に生まれた楽園だ。
最後に主謀者翔馬は「死なば諸共」を歌いながら、この空間に赤黒い熱情した色を塗り重ねていった。誰もが心の中で思い思いに叫び、最後の最後まで共に熱狂を貪りながらも分かち合っていた。
少し先の未来へ、いくつかの挑戦という夢を掲げた主謀者翔馬。その景色の先に少しでも興味を示したなら、主謀者翔馬の声に、動きに、その身を、心を寄り添えてくれ。
PHOTO:kanoh
TEXT:長澤智典
セットリスト
SE 解錠
1. ルサンチマン
2. ペテン師
3. 真贋見据えし我が思想
4. サイレントナイト
5. ピグマリオンスピーチ
6. フーリガン
7. 名も無き英霊
8. 例え夜が
9. 忘失
10. エンドロールが呼んでいる
11. 不夜城
12. 断頭台
13. 灯火
14. 渇望
15. 走馬燈
16. 狼煙を上げよ、其の身を燃して
17. 暗中模索
18. 薔薇道
19. 英断か蛮勇か
-ENCORE-
20. ノンフィクション
21. 死なば諸共
★インフォメーション★
主謀者翔馬 NEWデジタルシングル音源
「英断か蛮勇か」
2021年12月21日 リリース / 価格:500円(税込)
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※wav、mp3、ジャケット画像、歌詞が封入されております
主謀者翔馬 単独公演「逆襲の篝火」 プレミア配信URL
https://twitcasting.tv/loft_heaven/shopcart/124486
アーカイブ視聴:2022年1月4日(火) 23:59 まで視聴可能
■LIVE SCHEDULE
2022年1月23日 片瀬江ノ島 島の茶屋あぶらや
2022年2月4日 川崎CLUB CITTA A’TTICC
2022年2月25日 目黒LIVE STATION
2022年4月23日 浦和Narciss
2022年5月21日 東京ビッグサイト・国際展示場 「デザインフェスタ vol.55」
2022年12月17日 初台DOORS 主謀者翔馬 単独公演 「ピグマリオンリベレイト-英断か蛮勇か-」
主謀者翔馬
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