<Soanプロジェクト with 手鞠> 『真夏の夜の夢vol.2 』~菓子女装ブリオッシュ・ド・ロリィタ~ 2018年8月21日 SHIBUYA-REX

ロリータファッションに身を包み、一夜の優雅??な宴…のはずが……。Soanプロジェクト with 手鞠、アコースティックライブなのに激熱じゃない!?。それはロリータ服に身を包んだおかげ!?

 
 9月19日(水)に3rdミニアルバム『静廉鳴る共奏、静脈に宛がう。』の発売を控えているSoanプロジェクト with 手鞠。彼らは、昨夏に『真夏の夜の夢』と題し、ロリータファッションへ身を包んだ姿のもと、アコースティックなスタイルで一夜の夢物語を届けてくれた。そのときのライブがとても好評だったことから、今年もSoanプロジェクト with 手鞠は、同じ趣向でライブを企画。今年は「『真夏の夜の夢vol.2 』~菓子女装ブリオッシュ・ド・ロリィタ~」と題し、8月21日(火)に昨年と同じく渋谷REXを舞台に行った。メンバーは、Soan/手鞠/健希(from Bräymen)/祐弥/Sachi(from 黒色すみれ)の5人。今宵は、ロリータファッションへ身を包んだ女性たちも数多く来場。真夏の夜に開かれた華麗なる宴の模様を、ここへ記そうか。

 なんて優雅な調べだろう。ここは鹿鳴館の晩餐会??。舞台の上には華やかで美しいロリータ服(衣裳提供: )に身を包んだメンバーたちの姿が。今宵の社交場を舞台にした宴はとても華やか!?、それとも…。

 「だいぶ遅めのティータイムを始めましょうか」。手鞠の声を合図に、演奏は優雅さを抱きつつ、心の鼓動をせかすよう少し性急な調べとなり流れだした。彩色きらびやかな音色を放ちながら軽快に駆ける演奏の上で、手鞠は気持ちに少し早鐘を打つように『吐情、舌上、熱帯夜』を歌いだす。なんて華やかな宴の始まりだ。このティータイム、ゆったりとした宴で終わりそうな気配がしない。むしろ、正装したドレスさえ振り乱し、今宵は少し乱れた自分になれそうだ。
力強いアコギの音色が心を震えさす。スリリングさも加えた演奏の上で、手鞠が少しだけ雄々しさを翳し『sign…-resonance-』を歌いだした。それまでの晴れた風景の中へ、黒い闇の色を彼らは少しずつ描き加えてゆく。哀愁や切なさという影を演奏に差し込みながら。その歌声と調べは、不安を煽りながらも、触れた人たちを哀愁という滲んだ色の中へ引き寄せてゆく。さもそれが、心を惑わし、魅了するお菓子だとでも言うように…。

美しい姿なのに、MCでは何時もの男らしい声での会話が飛び交う、そのアンバランスさも今宵の魅力。メンバーたちへ向け、フロアー中から「可愛い」という声が上がっていたが、ついSoanが「あー恥ずかしい」と叫んでしまうくらいに照れた仕種を覚える様は、滅多に見れない貴重な機会だ。

祐弥の手にした二胡が、魂を郷愁覚える異世界へ連れ出した。その音色の上にアコギとピアノが切ない色を重ねれば、ヴァイオリンは厳かな色を描き加えていた。「誰にも心許さずに生きる術があるなら~」…『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)』が、触れた人たちの意識を、此処ではない古の異世界へ導いてゆく。それは、心の中へひっそりと築いていた安らぎの隠れ家?!。幽玄で麗美な音色へ寄り添い、想いを馳せるように、でも雄々しさも抱きながら歌う手鞠。そこは、生きとし者が入ってはいけない麗しい世界。その調べは、僕らを彼岸の地へ誘ってゆく!?。その音色に導かれ、僕らは心をゆったり寄り添わせていた。
Soanの奏でるピアノとSachiの導くヴァイオリンの調べが交わる中に生まれた幽雅な音色。その演奏に誘われ、みずからの身体をゆっくりと調べの中へ落とすように、手鞠が哀切さを湛えながら『それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ』を場内へ響かせてゆく。慟哭した感情を泣き叫ぶように、果ての世界で搖れ動く魂へ楔を打ち込むよう、祈りにも似た歌声を会場中の人たちの心へ、手鞠は「永遠に続く祝福という名のカルマ」とその歌声を捧げていた。
厳かな空気の中へ、僅かな光を注ぐように流れるSoanのピアノの音色。ゆったり呼吸をするように、低音の効いた歌声を優しく響かせ歌う手鞠。一つ一つの調べが折り重なり、次第に熱を帯びるに連れ、手鞠の歌声にもジワジワと熱が膨らんでゆく。「幸せとか不幸の定義ならばその手の中」、手鞠が歌う『相対する質量の交錯する熱量』が優しく心へ熱を注いでゆく。その熱が少しずつ浸透するたびに、僕らもその熱を逃すまいと舞台上へじっと視線を注いでいた。「上の空の相槌とか 困ったとき逸らす目とか 嬉しいときそう見せぬようにうつむく仕種とか」、一つ一つの仕種へ愛おしさを覚えずにいれない。手にしたぬいぐるみへ向かって歌いかける手鞠。なんて心を嬉しく掻き乱す歌と演奏だ。優雅で、危険で、温かく、切ない調べに、溺れるほど微睡まずにいれない。最後に、お茶目な仕種でぬいぐるみをいじる手鞠の姿が、どこかコミカルでいじらしかった。

 「ティーカップに注がれていた紅茶はもう冷めていた。続きを聞かせて、夜の帳のその先で…」。
 今にも涙の滴が落ちそうなほど、なんて心を嬉しく揺さぶる音色だろう。「夕凪ぎを割いて家路を急く」…『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』が、小さかった頃、夕暮れの時間に無性に切なさを覚えたあの頃の気持ちを甦らせる。哀愁へ、ゆったり心が飲み込まれてゆくようだ。でも、その優しい痛みがとても心地好い。目の前を橙色に染め上げる風景へ郷愁を覚えずにいれない。夕暮れに染まった景色の中、何時しか僕らは、小さかったあの頃の僕や私となり、そこへたたずんでいた。そんな心の郷愁に浸る気持ちへ、彼らは優しく歌の手を伸ばしてくれた。哀愁味あふれる歌声に導かれ嬉し涙を流しながら、僕らもまた、その手を握っていた。

調律…そして、紅茶を優雅に口に運ぶ手鞠。「アコースティックという環境上、少なからずある先入観を取り払ってもらう為の一環として昨年開催したところ、みなさんからの反響がありまして、今年もは調子にのってやってみたわけです。大人の音楽の楽しさ、何をやってもいいというヴィジュアル系の定義を、みなさん柔軟に楽しんでいただけたらなと思います」(手鞠)。「振り切れた我々の姿も観ていただいて、意外とはまってんなと思ってくれれば」(Soan)。無理して高い声でしゃべろうとして、声を外すSoanなど、MCを含め、何時もとは違う様へ舌鼓を打てた今宵。

ライブも後半戦へ。「さらに深みと痛みを増していきます。その心を蝕むのを恐れないなら、どうぞ、この手の届くところまで」。健希と祐弥の荒々しいギターの音が絡み合う。中でも祐弥は、ギターのボディや弦さえも叩き、情熱を導きだしてゆく。Sachiの優雅さの中へ狂気を抱いたヴァイオリンの音色をクッションに、演奏は情熱をほとばしらせるよう一気にスパニッシュな音を激しく爪弾きだした。躍動する演奏の上で、昂る気持ちを吐き出し、捧げるように歌う手鞠。ほとばしる熱を投影した手鞠の歌声に導かれ、『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』が流れだす。「誰かを憎んでみたけれど、誰のせいにも出来ないでいるの」。みずからの心へ鋭いナイフを突き付け、その痛みへ恍惚を覚えるが如く、心が、身体が燃え盛る熱を求めてゆく。もっともっと情熱を、もっともっと高揚をこの身へ注いでくれ!!!!!
 力強くアコギを掻き鳴らす祐弥の音へ導かれるように、感情を高ぶらせた手鞠が立ち上がり、気持ちの奥底から沸き上がる情熱を声に託し歌いだす。美しさの中へ凛々しさと狂気を携えた演奏が連れ出したのが『正否の相違、或いは利害の不一致』。「人が口にする理解痛という言葉~」。なんて心を熱く震わせる演奏だ。アコースティックにも関わらずという言葉はすべて捨て去り、今はただ、熱を抱いた高揚のドラマへ身を預けたい。たとえ演奏の業火に身が朽ちようと、刺激的な興奮と痛みを与えるその熱を思いきり感じ続けたい。
 きらびやかな音の光が、疾走する演奏に振り落とされキラキラ飛び散ってゆく。その輝きに刺激を受けた観客たちが、大きく身体を揺らし、時に拳さえも振り上げ、みずから発する熱を場内へ溜め込みだした。『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る』が、このまま壊れようと、僕らを熱狂の楽園へ連れ出した。駆ける演奏に振り落とされるどころか、同じ速度で感情を滾らせた観客たちが大きく身体を揺さぶり続けていく。狂気と狂喜が交錯する宴が、理性を影の中へ同化させてゆく。この身を焼き尽くすほどの情熱でもっともっと僕らを抱きしめてくれ。その業火のシンフォニーで…。
最後に、Soanプロジェクト with 手鞠は『落下の挙動、加速、暗転、反射 そして調和する僕と君と。』を届けてくれた。荘厳さと熱情を交錯させながら、その音楽は魂を痛く揺さぶり続けていた。わだかまったすべての感情を一緒に解き放ち、共に恍惚の炎の中へ身を落とし、すべてを美しく昇華してしまおうと言わんばかりに、彼らも、僕らも、心を熱したまま果ての世界へ心地好く堕ちていった。

アンコールでは、メンバーそれぞれが可愛らしいポーズを決めながら登場。「みなさんで素敵な景色を見せてくれたら嬉しいです」。Soanプロジェクト with 手鞠が最後に届けたのが、優雅な宴のフィナーレを飾るに相応しい『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』。心へ希望に満ちた優しい光を射し込むように、その歌は、触れた人たちを無垢な姿に様変えてゆく。身体を揺らす演奏と手鞠の歌声に導かれ、何時しか会場中の人たちが大きく右手を振り、無邪気な乙女や少年に戻り、その優雅な宴に熱い眼差しを向けていた。心に情熱を湛えてゆく夜の幻が映し出した優雅なティータイムに、誰もが優しく心地好く身を預け、無邪気な笑みを浮かべながら、その宴を心ゆくまで味わっていた。

さぁ、この続きは、新たなワンマンツアーや、手鞠のバースデーライブで味わおうか。また一緒に、旅路の先々で素敵な宴を楽しもうじゃないか。

PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典

―セットリスト―
『吐情、舌上、熱帯夜』
『sign…-resonance-』
『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)』
『それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ』
『相対する質量の交錯する熱量』
『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
『正否の相違、或いは利害の不一致』
『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る』
『落下の挙動、加速、暗転、反射 そして調和する僕と君と。』
-ENCORE-
『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』
End SE.『紫陽花がまた咲く頃に』

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